私(平野)が、デイサービスにいた頃の話です。
デイサービスとは、日帰りで利用する介護施設で、食事や入浴
レクリエーションなどのサービスを提供する場所です。そこで
出会った重度認知症(要介護4)のUさんの話です。
いつもマイペースで、他の利用者と会話もなく、タオルを触った
り、コップの水をテーブルにこぼしたりする行為がありました。
ただ、男性職員から話しかけると笑顔をみせてくれたので、
私は嬉しかったです。しかし、他の利用者からは「水をこぼし
たら いかん。」「あんた、なにやっとるの!」と言われて、
Uさんも「○×■・△だわ!」と言葉にならない声で叫んでい
ました。
水をこぼす行為とタオルを触る行為が、まわりから見たら、
意味不明な行動見えました。
なんとかしたいと考えて、本人の元気だったころの生活を
ご家族から聞くと、喫茶店を経営されていたとのことでし
た。そこで、濡れタオルを渡し「お願いします」と伝える
と、「はい・・」と笑顔で丁寧にテーブル拭きを手伝って
頂けました。
その後、他の利用者からも「ありがとう」と声をかけられ
ることも多くなり、認知症の症状も穏やかになっていきま
した。
本人の生活歴を把握して、認知症の支援につなげることの
大切さを実感しました・・。 生活相談員より