認知症の介護で「聞き書き」というものがあります。「聞き書き」とは、認知症の方から過去の話をじっくりと聞き、それらを書くことで、本人の気持ちや興味のあることなどを聞き出すものです。今朝のニュースの特集で、その事例を紹介していました。認知症を患っても、過去の記憶(特に本人にとって印象深かった経験)は忘れないものです。その話を聞くことによって、スイッチが入ったように目を輝かせて話を続けてくれます。その話の内容を、介護者が掘り下げてさらに話の内容を充実させていくことで、話が終わった時には自然と笑顔がこぼれます。例えば、昔、30年以上勤務した学校の話を聞いたとき、その時の生徒の様子や日常を昨日のことのように上手に話してくれる方がいました。一方で、昨日のことは全く覚えていません。普段はうつむきがちで、静かに過ごされる方ですが、話が始まると(スイッチがはいると)目を見開き、上手に話の起承転結も含めた内容で、話をされます。外出時に、その方が勤務されていた学校の近くを通ってみたら「ここ、ここに30年おった!なんも変っとらん」と笑顔で話されました。 入所されても笑顔のない生活では、支援とは呼べません。少しでも笑顔を引き出せる介護を目指して、努力の日々です。 生活相談員